東本願寺彫刻ガイドツアー
2023年3月~5月にかけて東西両本願寺で「親鸞聖人御誕生850年ならびに立教開宗800年慶讃法要」が行われていましたが、それに合わせて企画された「東本願寺彫刻ガイドツアー」に参加してきました。
当日は御影堂門に集合です。説明は、真宗大谷派瑞泉寺(ずいせんじ)(富山県南砺市)門前にある井波の彫刻師の方です。東本願寺と瑞泉寺は、互いに焼失する度に互いに彫刻師を派遣し協力し合ってきたそうです。
ゆえに、瑞泉寺の門前町には、現在でも100人以上の彫刻師が在住し、井波彫刻といえば全国的にもその名を轟かせています。
まずは御影堂門正面の龍の彫刻から説明を受けました。見上げると、東側と西側にそれぞれ龍の彫刻があります。
東側(烏丸通側)の彫刻は尾張の彫刻師、早瀬長兵衛氏。西側(御影堂側)の彫刻は井波の彫刻師、岩波理八氏(当時 彫刻主任)が彫ったそうです。
見比べると、烏丸通側の龍の彫刻は雄大で龍の髭(ひげ)が木の素材でできています。一方、御影堂側の龍は繊細で、髭の素材は銅でできています。その上金箔なので、髭を見ると一目で違いが分かります。
続いて御影堂に移動しました。まずは向拝(ごはい)柱の木鼻(きばな)(虹梁(こうりょう)の端の彫刻)の獏(ばく)についてです。こちらの獏は、左右共に口が開いています。神社の狛犬は、多くは向かって右が口を開けている阿形像(あぎょうぞう)、左が口を閉じている吽形(うんけい)像で阿吽一対となっています。
ところが、御影堂の木鼻は、両側の獏が口を開いていて、向かって右は舌が上顎(うわあご)に付いていない吽形像、左は上顎に付いている阿形像となるそうです。
なお阿弥陀堂の木鼻は象、阿弥陀堂門の木鼻は何とライオンだそうです。確かに近くで見るとライオンのような風格がある彫刻です。なぜライオンなのでしょう。
歴史を遡(さかのぼ)ると京都市動物園が出来たのは1903(明治36)年ですが、その3年後の1906(明治39)年に上野動物園から京都市動物園にライオンがやってきたそうです。阿弥陀堂門が再建されたのが1911(明治44)年なので、初めて見たライオンを見た彫刻師が、感動でこの彫刻を彫ったのではないかと推測されているそうです。
さて、次に案内されたのは御影堂門向かって右奥にある鹿に楓の彫刻です。以前から間近で見られ、繊細で好きな彫刻です。彫刻師の方もお手本となる彫刻だそうです。
その後、御影堂内中に入りました。蓮や楽器を持った彫刻はとても立体的で、金箔も奥まで押す必要があるため、今までの木地彫の彫刻とは違い、付け彫りになっているとのことでした。最後に阿弥陀堂に移り説明を受け、御影堂に戻りました。
ある程度、知っているつもりと思っていても専門家による説明は新たな発見があって感服することばかりです。やはり一生勉強ですね。またこのような機会があれば参加したいと思います。