ご旧跡めぐり/香華堂報233号[2020,10/01発行]

聖徳太子御廟所・磯長山(しながさん) 叡福寺 真言宗単立

 大阪府南河内郡太子町太子2146

2011年にお浄土に往生された大谷大学名誉教授である堅田修先生とは自坊の滋賀県高島市の慈敬寺様で仏具の納品でお世話になっただけではなく、親鸞聖人に関わる様々な話をさせていただきました。その一つは真宗寺院以外のお寺になぜ親鸞聖人のお木像があるのかとか真宗寺院ではなぜ余間に聖徳太子の掛軸が掛けられるかとかの話もいたしました。

その話を元に訪ねたお寺様も大津 三井寺様や京都 東山の法住寺様など多数あります。その中で「大阪の叡福寺は聖徳太子のお墓があるお寺だから必ずおまいりしなさいよ」と言われていたのになかなか行く機会がありませんでした。コロナ禍で自粛ムードの漂う中、ふと先生の言葉を思い出し大阪南部に位置する叡福寺に行ってきました。

京都から車で1時間ほどで到着しました。インターを降り10分程で叡福寺に着き山門前に車を止めます。山門は駐車場から階段を上った上にあり山門両側には金剛力士像が安置されています。山門入って左手に金堂があります。大きさは桁行5間梁間4間の入母屋造、本瓦葺の堂々たる建物です。御本尊は高さ90cmの如意輪観音座像で、これは聖徳太子の本地(化身)が観世音菩薩であるという平安朝以来の信仰に基づいて安置されているそうです。 脇侍は不動明王と愛染明王です。また本堂手前の西側には法塔が建っています。本堂の東側の奥へ進むと聖徳太子御廟があります。こちらは宮内庁の管轄なので遠目からおまいりしました。

境内には「浄土堂」や「弘法大師堂」がありますが、特に注目したのは「見真大師堂」です。明治45年(1912年)建立されて本尊は親鸞聖人座像です。 聖人が88歳の時に叡福寺参拝された折に、自らこの像を刻んで遺されたといいます。お堂は戸閉りされてガラス越にしか見えませんでしたが、はっきりとお姿を確認することはできました。この見真堂は長年傷みが進んでいましたが、屋根が葺き替えられ2019年の大乗会法要(聖徳太子のご命日)の際に修復法要が行われました。

長年の堅田先生との約束が果たせてホットしています。こちらの叡福寺は上の太子と呼ばれ下の太子(大聖勝軍寺)、中の太子(野中寺)とともに、太子信仰の霊場として栄え、また聖徳太子建立七大寺(法隆寺 広隆寺 法起寺 四天王寺 中宮寺 橘寺 葛木寺)もあるので未訪問のところは、また機会がありましたらお参りしたいと思っています。令和3(2021)年は聖徳太子が薨去されてから1400年目にあたり、4月10日~5月11日には御遠忌大法会が行われます。4月17日(土)には大谷派、21日(水)には本願寺派がお参りされるようです。ご縁がありましたらおまいりしたいものです。