大谷大学博物館(東本願寺と徳川幕府)
京都市北区小山上総町
10月13日~11月28日の東本願寺報恩講御満座にかけて、大谷大学博物館で「東本願寺と徳川幕府」という特別展が催されていましたので、最終日の昼から見学に行ってきました。私も大谷大学出身ですが、在学中には博物館はなかったので、少しワクワクした気持ちで向かいました。在学中の正門は東側の烏丸通からでしたので入り、警備員さんに博物館の所在を尋ねると、「博物館の入口は北側の北大路通から入ってください」と言われて北口に回りました。北門から入ると、すぐ入口があり図書館の横に博物館はありました。報恩講が終わって来館される方が多く、知り合いのお寺様にもお会いしました。
今回、この展示を知ったのはFacebookで紹介されているのを見たからでした。中に入ると顕如上人像、教如上人像や徳川家康像の掛軸があり興味深かったですが、特に心動かされたのは、徳川家康の位牌が展示されていたからです。東本願寺の南側(現在の阿弥陀堂南側)に東照宮御霊殿(徳川家康の位牌を安置するお堂)があったそうです。なぜこのお堂が建てられたかというと図録には、幕末の安政五年(1858年)の下京大火で御影堂や阿弥陀堂、枳殻邸などの諸殿を焼失した東本願寺が、江戸幕府に対して、家康以来の格別の由緒と先例を以て用材の拝領を懇願しました。そして、幕府もこの陳情に可能な限り応じました。その後、文久元年(1861年)三月の親鸞聖人600回忌に向けて諸堂舎の復興に目途がついた同年1月、幕府から「東照宮別堂」造立の通達が出され、その余材を用いてこのお堂が建てられました。文久2年(1862年)8月29日に上棟、閏8月16日に遷座、17日に移徒の法要が執り行われました。
今回の展示では、冒頭でお話した位牌やそれを安置するお堂の絵図や釣灯籠などが展示されていました。位牌は金箔押しで天牌(天皇の位牌)と同じのような形をしており、文字板の部分のみ群青色、金文字で「東照宮大権現宮 尊儀」と彫られています。釣灯籠は現在の火袋部分が六角形ではなく、上部が大きい瓜型をしていて、火袋には徳川家の葵の紋が付いています。この灯籠は徳川幕府より寄進されたそうです。この他にも東照宮御霊殿の扉もあり、こちらにも葵の紋が彫られていましたし、茶壷駕籠もありました。展覧会は残念ながら終わりましたが、図録はまだ在庫があるようで、私も頼まれて大谷大学博物館に買いに行きました。閉館中の場合は図書館が窓口になるようです。この博物館は大谷大学近代化100周年を記念して2003年に開館したようです。これからの展示にも注目していきたいと思います。