京都市内一帯
京都市内一帯で8月16日に行われる京都五山の送り火についてお話したいと思います。京都の夏は祇園祭に始まり、大文字で終わるといいますが、夏が年々長くなってきていますのでその言葉が当てはまらないようになってきました。しかしながら最初は勢いよく燃え上がっていた大文字が、次第に消えゆくさまを見ていると気持ちはじょじょに「はかなさ」に浸ります。私が小さい頃は自宅の屋根の上に上がって「大文字」を見たり祖父母が下鴨に住んでいたので、葵橋からも見た記憶があります。今年は確実に見るため、京都駅発の観光バスに申し込んで嵐山から見学することにしました。夕方5時50分、バスは京都駅を出発し嵐山に到着、まずは夕食です。車内ではバスガイドさんが五山の送り火について詳しく説明してくださいます。その中で興味が惹かれたのは「妙法」と鳥居形のいわれでした。妙法は山の麓で天台と法華の僧侶が言い争いをして法華の僧侶が勝ったので「妙法」となり今でも妙法付近は法華の檀家さんが多いそうです。また鳥居形は後方の愛宕山の愛宕神社を表しているそうです。またバスガイドさんが見学ポイントを教えてくださいます。嵐山からは「大」の字と「鳥居」しか見えないのですが、「大」の字は渡月橋すぐ下流の中之島か、川向うの十三まいりで有名な法輪寺の広場が見学ポイントと教えてもらいます。
食事を終えると法輪寺まで急ぎ足で駆け上がり、お寺の見学ポイントとなる広場へ通じる門の行列に並びにいきました。「大」の字の点火時間である8時5分前くらいに開門しダッシュで広場に急ぎます。大の字はかなり遠くなのでどこが大文字山かわからない中、このあたりだろうと目星をつけて点火時間を待ちます。そのうちに8時になり点火し、かなり遠く大の字も小さいですが、遮るものもなく、時間の経過とともに大の字が力強くはっきりなっていく様子を手にとるように感じることができました。次は鳥居です。鳥居の見学ポイントは渡月橋の中ほどと聞いていたので、また急いで法輪寺を下りて向います。
しかしながら渡月橋はすさまじい人込みで歩くのがやっとです。そんな中、鳥居も点火してはっきりと形が浮かびあがってきました。人が多いので精霊を送るという厳かな雰囲気ではなかったですが、今年は亡くなった母の初盆でありしっかりと見送れたのではないかなあと思っています。いろいろな想いをもって送り火を迎えられますが、いつもでもこの伝統行事が伝統産業と同じように続いていってくれればと思います。