私は彩色の仕事は描く仏具によって職先さんを分けています。彫刻に白い胡粉地をしてその上に濃い彩色をする極彩色の得意な職人さん、彫刻に金箔を押してその上から淡い彩色をする職人さん、そして金紙に花や動植物を描く職人さんなどにわけています。なぜわけるようになったかと申しますと、職人さんによって得手不得手の分野があり、また彩色はお客様や私のイメージ通りに仕上げてもらわないと困る仕事だからです。そのような仕事であるので、下絵や小さな絵を描いてもらいお客様に見てもらうこともあります。

今回は彫刻の得意な彩色師のお宅に訪問しました。入ると工房には彩色の絵具がきれいに並んでいます。そして色あざやかな仏具が所狭しとおかれています。彩色は外科医のごとく、若い方のほうがいいとされています。お医者さんがナイフを切れ味するどく執刀されるように筆で細くまっすぐな線を描かなければならないからです。この彩色師さんは50代初めの方で、まさに油がのっているところです。師匠のところに12年ほど、修行しそして独立され、現在は一人で作業されています。

一方、金紙に描く職人さんは親方を筆頭に10人ほどお弟子さんがいらっしゃいます。親方は大きな絵は描かれませんが、本堂に表具したあとの修正にはいかれます。その作業の様子を見ていると、実際描かれている絵と同じ絵の小さなデッサンを持参され、そこには色の配合表が細かく書かれています。同じ色でも明るいものから暗いものまでいろいろな種類があるため、修正する際にもそれを見ながら配合されて色を塗り重ねていかれます。本堂は広いため、完成すると大きな絵画が本堂にされたようで、お客様もきれいになっただけでなく明るくなったとおっしゃっていただくことが多く、私にとってもやりがいのある仕事です。

私は絵の心得はまったくありませんが、経験を重ねるにつれて、見る目は年々肥えてきて、あれやこれやと彩色師と相談しながら色合いや色の濃さを決めていくこともあります。絵を描く工房も見学したいという要望も年々増えてきていますので、もしこの先彩色などを本堂にしたいとお考えでしたら、お気軽にお申し出ください。工房にご案内して職人さんの生の声をお聞きくだされば、もっと実感が湧いてくると思います。