越後七不思議(八つ房の梅 珠数掛け桜)/香華堂報128号[2011,09/01発行]

梅護寺
【所在地】新潟県南蒲原郡田上町大字田上丙1285-1 

が、今回は二つの七不思議がある梅護寺へ訪問です。最初に訪れたときは境内の前に車を止めて、おまいりしまいたが、二回目には本堂西側100mほど離れたところにバスも駐車できる専用の駐車場があることを知ったので、そこへ駐車しました。境内の入り口には「親鸞聖人御旧跡」の石碑の横に句碑があるので、目印になります。まずは本堂からおまいりです。本堂が閉まっていたので、庫裏に行くと、ご住職が直々に扉を開けてくださり、おまいりしました。本堂内を見渡すと荘厳の中に目に留まるものがありました。それは向かって左余間に小さな厨子があり、その中に小さな石がありました。よくみると、その石に南無阿弥陀仏の文字が刻まれています。ご住職の説明によると、明治16年8月新潟県の難所親不知で新道をつくる際に発破で岩石を砕いている時、人夫さんのところまで飛んできた石を拾いあげたのがこの石だったそうです。 さて、本題の七不思議ですが、ちょうど、数珠掛け桜の見ごろが間近でしたので、開花の時期をお聞きしたところ、今年は例年より寒く開花が遅いようでした。京都からきたことを伝えると、京都にも珠数掛け桜の木が二条城や植物園にあることをお聞きしました。ここ梅護寺が発祥の地で、国の天然記念物に指定されているそうです。お寺にある桜の木は現在8代目で、ゴールデンウィークあたりに花を咲かせるそうですが、桜の木がある場所(道はさんで20mくらい)に見に行くと、この日(4月29日)はまだ咲いていませんでした。後日5月9日に開花を確認。そのいわれは、親鸞聖人が小島の里の人たちと別れるとき、御数珠を街道の桜に掛け、「我が弘むる御法にいつわりなくんば花ふさ珠数の如くならん」とおっしゃると不思議にも桜が聖人のお言葉に随順し花が珠数の房をかけたように垂れ下がって咲くようになったそうです。 さて、八房の梅は本堂向かいの柵の向こう側にあります。梅の花がほんの1~2輪咲いていましたが、きれいな梅の実を見ることができるのは5月下旬から6月にかけてだそうです。いわれはこの地に住んでいた夫婦からもらった梅を親鸞聖人がお手植えされ たところ、花一輪に八つの実をつけるようになり、八房の梅として、今に語り継がれています。ここを訪れた八代目蓮如上人は、『八ッ房の梅のみのりもおちおちて末に残るは弥陀の一実』という歌を詠まれています。