私のお寺めぐり/香華堂報87号[2007,04/01発行]

詩仙堂丈山寺

【宗派】曹洞宗永平寺派
【所在地】京都市左京区 一乗寺門口町27

一見、簡単な作りの木だけの山門をくぐると、石段があり、それを登ると、両側が樹木で覆われた石畳の参道をすすみます。参道がまっすぐで、清清しい空気が流れています。私は、この数分間の厳かな場所に向かう独特の雰囲気が非常に好きです。 詩仙堂は正式には詩仙堂丈山寺といいます。元々は徳川家康の家来であった石川丈山がその後文人となって隠棲した寺で、その名をとって丈山寺と名づけられました。また、堂内の一室に狩野探幽に書かせた中国の詩仙36人の肖像画(三十六詩仙)と漢詩があることから詩仙堂となりました。この石川丈山を調べると、とても多芸な方です。書道においては隷書を得意とし、一室の床の間には福・禄・寿とかかれた三幅の掛軸がかけられ、お茶においては煎茶の日本の開祖であります。また、江戸時代の小堀遠州と並んで作庭にも長じたといわれ、東本願寺枳殻邸や一休寺方丈庭園(松花堂照乗・佐川田喜六との合作)にも関わったとされています。庭園には添水(そうず)【現在の鹿(しし)おどし】がありますが、これも丈山が考案したといわれています。春にはサツキ、秋には紅葉と山茶花を楽しむことができます。元々は愛知県安城の出身で、その地元にはその功績をたたえ詩仙堂のイメージを再現した丈山苑があります。 私が最初行った時は3月で白砂に青々とした青葉が映えていました。お庭は非常に手入れされていて、爽快感につつまれます。小さなお寺ですが、のんびり過ごすにはピッタリのお寺です。


おすすめ情報

『時期』
サツキ(5月下旬)
紅葉(11月中旬~11月下旬)

『建築』
詩仙の間(江戸時代)
※詩仙堂は史跡名勝記念物に指定されています。 編集後記 お彼岸も終わり、いよいよ本格的な春の到来です。京都も桜があちらこちらで咲き、賑やかになります。私のもうひとつの楽しみは4月下旬からはじまる京都古文化保存協会が主催する普段非公開されている文化財が公開されることです。今回の見所は金戒光明寺の山門と常寂光寺の花天井です。学生さんによる解説もあり、楽しいです