西芳寺(苔寺)/臨済宗
〒615-8286 京都府京都市西京区松尾神ケ谷町56
京都には予約しないと拝観できないお寺や宮内庁管轄の施設がいくつかあります。以前は往復ハガキを送って申し込みましたが、時代の流れで、最近はネットから拝観予約できるようになりました。
今回は、予約制のお寺で苔で有名な洛西(らくさい)の西芳寺様に行ってきました。お寺には駐車場がないので近くのコインパーキングに車を止めて向かいます。スマホのQRコードを見せて予約時間に入寺します。入ってすぐ左手に本堂(1969年再建)が見えてきます。本堂正面には「西来堂」の扁額(へんがく)が掲げられていした。この名称は、西芳寺中興の祖である夢窓国師(むそうこくし)によるもので、中国に禅をもたらした達磨(だるま)が西(インド)から来る、という意味を込めた「祖師西来意」に由来するそうです。
さて、まずは本堂に入ってお参りし、その後は写経体験です。お経は「延命十句観音経(えんめいじゅっくかんのうきょう)」とういうお経です。表題含めて四十九文字しかありません。そこに自分の名前を書いて出来上がりです。写経した用紙は、お守りとして持ち帰ることもできますし、お寺に奉納もできるとのことでした。私は外陣の御本尊前に置いて(奉納)次に進みました。本堂に向かって左側には、大佛次郎文学碑があります。そこには、「大仏次郎作 川端康成書」と刻まれていました。碑文の内容は、大佛次郎の著書『帰郷』の一説です。西芳寺を舞台にしていることからのようです。
東屋があったので少し休憩してからいよいよ庭園に向かいました。庭園入口には皇后陛下行啓記念の立派な松が植えてあり、その向こう側には苔むした緑の絨毯が広がっていました。あまりの素晴らしさに息が止まるほどでした。右から回りましたが庭はかなり広く、色々な表情の苔を楽しみながら散策することができました。庭の真ん中には黄金池という池があります。水面は樹木や苔の緑が反射し大変美しいです。池の中には朝日ヶ島と夕日ヶ島という二つの島があります。夕日ヶ島に建つお堂が気になりました。半分くらい進んだところに椅子が設置されており、皆さん休憩されていました。その後、名残り惜しく庭を後にし、出口で絵葉書をいただきました。
西芳寺の苔の見頃は、やはり六月~七月の梅雨時期ですが、いただいた絵葉書は紅葉の庭園でした。秋の姿もいいかもしれません。今回は日々(にちにち)参拝というコースで申し込みましたが、折々(おりおり)参拝というコースには、座禅会や早起き参拝があり、お子さまの日(12才以下)という設定もされています。
元々檀家さんがいないお寺ですので、拝観者の冥加金(拝観料)でお寺の維持・整備が成されています。拝観を予約制にすることについては苦渋の決断をされた事と思います。事実、予約制に移行した当初は、参拝者が激減し財政も厳しい状態になったそうです。ですが、その後は色々なことで工夫をされ、「美しい苔の庭園があるお寺」として広く知られています。