薬師寺東塔修理現場見学(法相宗大本山)
奈良県奈良市西ノ京町457
奈良の南都7大寺の一つに数えられる薬師寺東塔の修復事業が完成し一般に見学できる最後のチャンスが平成から令和にかけてのゴールデンウィークにありましたので行ってきました。東塔は薬師寺の伽藍の中で唯一、天災人災から逃れ創建当初(約1300年前)から現存していますが風蝕やひび割れ、彩色の剥落が激しく修復することに至ったようです。
東塔の修復は平成21(2009)年から解体修理が行われておりましたが、なかなか見学する機会がなく、今日に至りました。
開門時間は8時半でしたが、最寄り駅の西ノ京駅に着いたのが9時半くらい、もうすでに東塔前では整理券が配られていて、自分の番号が呼ばれるまでに時間を要しましたので、先に西塔や金堂、講堂などを見学しました。特に興味深かったのは金堂での僧侶の方のお説教でした。自己紹介では、高田好胤先生の最後の弟子で30代半ばとおっしゃっていましたが、説教が軽快で関西らしく本音も交えた法話は、満杯になった金堂を‘笑いの渦’に包むほど盛り上がっていました。そして法話の中で写経用紙の購入を勧めていらっしゃいましたが、思わず自分も乗せられて買ってしまいました。
さて、自分の順番が来たので、東塔に向かいました。まずはヘルメットをかぶり修復現場の中に入って行きます。現在、素屋根に覆われている東塔回りの木製足場を上っていきます。間近で見られる東塔に気持ちも高ぶってきます。そして最上部の屋根が目の前で見られる場所まで来ました。目の前で見られる機会が、これが最初で最後と思うとシャッターをきり続けました。しばらくするともう一段上に上れることが分かり上に向かうとそこは相輪がよく見える本当の最上階の場所でした。傍らには僧侶の方が東塔について説明されています。お話の中で興味深かったのは相輪の高さです。相輪自体の高さは10m(東塔全体では34.1m)あるそうですが、その中の水煙部分だけでも190cmもあるそうです。下から見てもそんな高さがあるとは思えませんでした。ちなみに今回の修復で相輪部分は新調されたそうです、新調されたのは富山県高岡市の伝統工芸高岡銅器振興協同組合で15社の会社が携わったそうです。ちなみに西塔の相輪は滋賀県の金壽堂さんが昭和55(1980)年に製作されました。
落慶法要は令和2(2020)年、4月21日(水)~26日(日)、落慶慶讃法要は令和2(2020)年、5月1日(金)~10日(日)までだそうです。素屋根を外して青空に聳えるきれいに修復された東塔もぜひ見たいものです。