貝塚御坊 願泉寺様(浄土真宗本願寺派)
大阪府貝塚市中846
昨年、大谷大学であった「東本願寺と徳川幕府」の展示会を見学したのを機に読んだ「教如上人と東本願寺創立」に記述があった貝塚の願泉寺様に興味を持ったので大阪方面に行った時におまいりしてきました。参考に願泉寺様は天文14年(1545)、無住であった草庵に紀州根来寺(ねごろじ)から卜半斎了珍(ぼくはんさい りょうちん)を迎え、お寺として再興しました。石山本願寺から寺内町にとり立てられた後、天正5年(1577)には、その支城として織田信長と戦い、一度は全焼しました。その後、寺も町も再興され、天正11年(1583)から2年の間、紀州鷺ノ森より顕如上人を迎えて本願寺御堂となりました。江戸時代には町は寺領とされ、住職の卜半家が支配しました。願泉寺の名は、慶長12年(1607)准如上人から授けられました。この卜半家の名を取り地元では「ぼっかさん」として親しまれています。
ナビでお寺に近づくと住宅街にそびえ立つお寺の屋根が見えてきます。お寺の屋根の甍(いらか)の景色があると落ち着きますね。近くの駐車場に止めて歩いて向かいました。御坊の周りにはお寺が数ヶ寺あるので、その門前の通りに入る入口には「貝塚寺内町」と彫られた石碑が置いてあります。
さて、お寺の前に着きました。入口には立派な表門が迎えてくれています。その向こうには本堂が直接見られないように西本願寺や亀山御坊本徳寺様でも見受けられる目隠し塀があります。境内は周りの交通の多さに比べ静かというより静寂ですが先客がいました。一人がお寺の解説をされてもう一方がその説明を聞いておられます。ネットで調べて見ると、貝塚市には観光ボランティアガイドさんがいらっしゃって、10名のグループでも1,000円でご案内していただけるようです。さて本堂ですが、第1印象は佇まいが上品で屋根の反り具合が美しいなあと思いました。本堂は横に広く縁のところには反りだした屋根を支える柱が何本も並んでいてこちらも西本願寺や亀山御坊でも見ることができます。ちなみに表門と本堂は国の重要文化財に指定されています。また境内には趣のある太鼓堂や経蔵などがあり、特に梵鐘は大阪府指定の文化財に指定されています。なおボランティアガイドでは近隣の本願寺派の尊光寺様や貝塚の街並をご案内していただけるようです。近年、大阪中心部は外国人観光客の増加で賑やかですが、その喧噪から離れ静かな街並みを本願寺の歴史に思い馳せながら散策するのもいいかもしれません。