白川村 明善寺様(真宗大谷派) 岐阜県大野郡白川村荻町679
荘川桜公園 岐阜県高山市荘川町中野769-15
嘉念坊善俊上人道場跡及び墓地 岐阜県大野郡白川村鳩谷
前々回の香華堂報で高山の照蓮寺様のご紹介いたしましたが、元々、白川村近くの御母衣(みぼろ)ダムにあったことを知り、タイミングよく近くのお寺様に行く機会がありましたので、ゆかりのある荘川桜公園、白川郷の明善寺様そして高山別院を創立した嘉念坊善俊上人の道場及びお墓などを訪問してきました。まずは、荘川桜公園に行きました。この公園には大きな桜の木が2本あり、1本は照蓮寺様、もう1本は光輪寺様の境内にあったものでダムの水没予定地にあったものを移植されました。高さは30mあるそうで桜の木の下に行くと大きな森の中にいるような感覚でした。なぜこの地に桜が移植されたかと申しますと、御母衣ダム建設で移転を余儀なくされた照蓮寺様光輪寺様の本堂が3ヶ月余りで解体、移転され、桜の木も2日後には伐採されることになっていたそうです。そこへ電源開発公社初代総裁の高碕達之助氏が光輪寺様の桜を目にした時に「この桜を救いたいという気持ちが胸の奥から湧き上がってくるのを抑えられなかった」ということから照蓮寺様の桜も含めて移植されることになったのです。移植は1960(昭和35)年11月15日から一ヶ月あまりをかけて行われました。まず大木の桜の移植は前例のないたいへんものでしたが、「桜博士」と呼ばれた笹部新太郎氏や当時日本一といわれた植木職人である丹羽政光氏の協力を得ながら必要最低限を残して枝も根も切り落とし、ブルドーザ3台を使い、50mの高低差と600mの移動距離を引きずり上げました。400年を超える老木にとってはたいへんな痛手で、次の年に桜が咲くか心配されました。しかし、白川村の遅い春に見事に活着し花を咲かせました。この公園には照蓮寺様を開基した嘉念坊善俊上人の銅像があり桜の木を常に眺めていらっしゃいます。桜の見ごろは2019年で4月末から5月初めにかけてです。現在、照蓮寺様は高山市に光輪寺様は関市に移転されています。このお話は一回で終わる予定でしたが、桜にまつわる話を知り自らも感動しましたので次回に白川郷のお寺様や嘉念坊善俊上人のお墓におまいりしたことをお伝えします。