私のお寺めぐり/香華堂報195号[2017,04/01発行]

湖南三山(善水寺 長寿寺 常楽寺)①

天台宗 善水寺 滋賀県湖南市岩根3518

天台宗 長寿寺 滋賀県湖南市東寺5-1-11

天台宗 常楽寺 滋賀県湖南市西寺6-5-1

 

今回はお世話になっています古建築の会の妻木先生のご案内で湖南三山へ見学に行ってきました。湖南三山と聞いて、知らない方もいらっしゃると思いますので、そのご紹介をいたします。湖南三山は滋賀県の甲西町、石部町にあった国宝を有する天台宗寺院の善水寺、長寿寺、常楽寺が2004年の合併により湖南市になり、湖東三山にちなんで名付けられました。

 私が訪ねた経験上、湖東三山に比べ湖南三山は徒歩で歩きやすく、ご年配の方でも回りやすいです。どこのお寺も紅葉が素晴らしいので秋に訪問されることをおすすめします。

 さて善水寺から訪問です。草津駅で皆さんと待ち合わせて貸切バス一台で向かいました。30分ほどで最初の目的地、善水寺に着きました。駐車場からすぐのところに本堂はあります。先生によると外観の大きな特徴は本堂外側にある向拝柱がないことです。この時代の本堂で向拝柱がないのはこちらと金剛輪寺だそうです。本堂に入り椅子に座るとご住職が説明してくださいました。善水寺の名の由来は奈良時代に鎮護国家の道場として和銅寺としていたが、桓武天皇がご病気になられた際に、この寺の湧き水を飲んで治癒したということから、この寺号を賜ったそうです。境内にはその湧き水が出ているところがあります。

 ご住職に続き妻木先生がお話しです。先生のお話で印象深かかったことは現在の本堂は室町時代に再建されたが、この時代に初めて虹梁を前後(外陣から内陣方向)に架けず左右(内陣と平行)に架けているのは大変珍しいので注目してくださいとのことでした。現在の真宗寺院はほとんどこの形式で架かっていますね。その後内陣にも入らしていただき、重要文化財の仏像をじっくり拝見することができました。特に私の目に入ったのは職業柄、長い須弥壇です。付須弥壇といいまして、本堂の大工工事した後に手前の框だけを付けたものですが、長いので設置が大変だろうなと思いました。

 外に出ると皆さん早速浄財を納めペットボトルを手にとり、本堂右手にある善水元水と書かれた湧き水でお水を注いで持ち帰りました。お元気な方は裏山の行者堂などを散策されていました。昼食は石部町の石部の里大峯というお店に移動してお弁当をいただきました。食後にはそのお店の名物である鯖寿司(予約制)もいただき手土産となりました。次回は長寿寺・常楽寺と続きます。