浄土真宗ご旧跡めぐり/香華堂報199号[2017,08/01発行]

本願寺岐阜別院(浄土真宗本願寺派)

岐阜県岐阜市西野町3丁目1番地

2015年12月に竣工した岐阜別院へおまいりに行ってきました。2016年5月29・30日には本願寺新門様をお迎えして落慶法要も行われました。別院の場所は岐阜のシンボルである岐阜城がそびえる金華山の麓(ふもと)にあり北側には長良川が流れている岐阜屈指の景勝地に位置します。前回2015年の4月に訪問した時は、まだ工事の真っ最中でした。今回は境内まで車を乗り入れることができ、天気もよく撮影日和でした。本堂は入母屋造りの妻入りの本堂なので、長野善光寺様のように縦に長い本堂です。中に入ると椅子がずらりと並んでいて、奥に深く学校の講堂のような雰囲気がします。本堂は昔の雰囲気を残し改修されていますので、木のぬくもりを感じることができます。外陣は約300畳あり、椅子席が以前は125畳分だったのが今回の改修で195畳に広げられたたそうです。両側の通路の部分は耐震壁として桧製で作られた格子がはめこまれて景観を損なわないよう配慮されています。外陣は折上げ小組格天井になっており、豪華な造りです。正面には「香光」と書かれた扁額が掲げられています。その文字は本堂横の会館にも名づけられています。ちなみにその会館は今回新しくなりましたが、前にあったものは本山の総会所から昭和34年に移築されたものですが、新しくなった香光殿にも向拝に使用されその名残を見ることができます。仏具は欄間や柱などが金箔押し替えされて鮮やかな金箔になっています。翠簾も新しくなり青い竹が輝いています。境内には前々門主の勝如上人、前門様の即如上人そして新門様のお手植えの木が植えられています。三代にわたってお手植えが植えてある別院は珍しいですね。

本堂内には岐阜市重要文化財になっている経蔵や本門・裏門などがあります。裏門は元々南側にあったようですが、今回の工事で西のお墓近くに移動されていました。経蔵には輪蔵があり、これは人の力で回せるようになっています。これを一回回すと一切経を読誦するのと同じ功徳があるとされています。浄土真宗のお寺様にあるのは珍しいですね。

私が注目したのは八角堂です。屋根の形がかっこいいですね。通常屋根の先端には宝珠が付いているのですが、その代わりに鳳凰でしょうか、鳥がしつらえています。鵜飼で有名な岐阜ならではですね。境内にはこの他にも庖丁塚があり、きちんと供養されているなあという印象を受けました。風光明媚な岐阜、おまいりだけでなく、観光も盛りだくさんです。