浄土真宗ご旧跡めぐり/香華堂報187号[2016,08/01発行]

大谷派 福井別院本瑞寺

 住所 福井県福井市花月1丁目2番36号

大谷派福井別院には昔に欄間をお納めした実績があり非常にご縁があります。親の時代でしたので定かではない部分もありますが、聞いた記憶ですと、仏師に彫刻を彫ってもらったと聞いております。今回たまたま昔の写真のネガを業者にだしてデータ化したところ、その欄間の作業風景がありましたのでそれも合わせて掲載し、別院のご紹介をいたします。

福井別院は福井駅より車で10分くらいのところにあります。別院のとなりには福井大仏がありますので、それを目印に向かってもらえればわかると思います。境内に車を止め、本堂におまいりします。屋根は二重屋根で鉄筋造の堂々とした本堂です。本堂正面には抱き牡丹が入った大きな賽銭箱が設置されています。お堂の内部に入ると柱は金箔押しされ、本堂内の仏具もきれいに修復され整然としています。本堂内に貼ってあるポスターを見ると、2015年4月10日~12日に宗祖親鸞聖人750回御遠忌法要が行われ、結願の12日は御門首及び御門首夫人、そして信明院殿をお迎えしお稚児さん含めた庭儀があったことが載っていました。そして本堂内を見上げると、当店が納めた天人像の欄間が安置されています。正面に1枚、両余間に各1枚計3枚あります。この天人さんの欄間は羽衣がきれいなところが特徴的です。母によると天人さん一体が人の大きさほどあったと伝え聞いています。写真を見てもその大きさがわかります。仏師さん宅では最後の両腕の作業の場面ですが、天人さんを持ち上げて作業されているところが、また漆塗の職人さん宅では天人さん全体を持ち上げて漆を塗っている様子が伺えます。作業しやすいようにそれぞれされていますね。本堂に設置された欄間は当時の写真なので白黒ですが、それでも金箔の美しさが見てとれます。

さて、福井別院は4月から始まる東本願寺による蓮如上人御影道中の吉崎別院へ向かう最後の宿泊地でもあります。私の知り合いで参加された方もいて、熱心なお寺様や同行が全国から集まってきて楽しいとおっしゃっていました。福井には真宗の四箇本山もあり、曹洞宗の本山である永平寺もあり、仏教者にはまさしく見どころ一杯の場所です。