大谷派 長浜別院大通寺
住所 滋賀県長浜市元浜町32−9
今回ご紹介するのは大谷派 長浜別院大通寺です。大通寺の門前は昔ながらの街並みで雰囲気があります。近くには黒壁スクエアというガラスの器やコップなどのお店や製作体験ができる場所もあり、また海洋堂というフィギュアのショップもあるので若い方にも喜ばれることでしょう。
本題の大通寺様ですが、車は本堂左手より入ります。夕方にお伺いしたので、子供さんが境内を遊びまわっていらっしゃいました。お寺に子供さんが遊んでいらっしゃる姿は見ていても微笑ましいですね。本堂は案内によると、伏見城の殿舎であったものを大谷派本願寺が分立した際御影堂として移されたものを承応年間にここ大通寺に移して本堂にされたようです。特徴的なのは本堂の天井が低いことと、外陣が声明方が座る外陣と参詣席とに分かれ、その上参詣席の上には欄間が本間から余間に続いてあることです。その参詣席の欄間は筬欄間といわれる組子状に繰り型がはめ込まれているもので、別院にしては簡素なものですが、そのあっさりしたデザインが私の好みです。また通常の障子上の欄間は木製のものがほとんどですが、ここの欄間は金属製の欄間です。大谷派で使用される上人卓という御門首がこられるときに座る向畳の前に置く仏具があるのですが、その彫刻部分も金属でできております。その欄間の模様や形状が似ていることから何らかの由来があるのだろうかと考えてしまいました。本堂から出て建物の中を左に進むと、拝観受付があり500円拝観料を払って拝観しました。本堂横の建物は大広間や書院、茶室などがあり、襖絵や障壁画も江戸時代後期に活躍した円山応挙や狩野山楽、狩野永岳(かのうえいがく)によるもので、見応えがありました。また蓮如上人の御影堂中に以前使われていたのでしょうか?御輿(おこし)も展示してありました。境内に目を移すと石碑があり作は横超院師 加賀
千代尼の連句で「手をあげよ 同じ流れにすむ蛙 日かげのわらび 腰をのしかね」と刻まれているそうです。これは当時彦根藩主の娘であった数姫と結婚し高貴な立場であった大通寺住職の横超院氏が、訪ねた加賀千代尼に対し恐縮して手をついてなかなか顔をあげないので「手を上げなさいよ、同じ歌の道に住む身じゃありませんか」と言ったところ「私などは日陰の身ですので、腰を伸ばして対等にお目にかかるなどできませんよ」と返したそうです。動物で呼び掛け植物で返すのが、歌の世界では最も素晴らしいのだそうです。
春には盆梅展、秋には曳山まつりが行われ、一年を通してまた子供さんから女性も喜ばれるお店も多くあるので、観光場所のひとつとしてもいいかもしれませんね。