今回は仕事の精度が要求される建具職人さんのお話をしたいと思います。今回滋賀県の大谷派のお寺様での障子を木地合わせするまでの経緯をお話したいと思います。まずは寸法取りに本堂へ伺います。私自身がとることもあるのですが、今回は既存の本堂に設置しますので、柱や長押の傾きが※(業界内では傾きを‘こけ’と言います。)大きかったので、職人さんを連れて行きました。採寸は一昔前まではメジャーや下げ振りというアナログ的なものを使って計測していましたが、現在ではレーザー距離計やレーザー水平器などを使用するので、より早くより正確になりました。しかしながら同行する職人さんは慎重に計測されるので、非常に時間がかかりますが、今まで間違えられたことがありません。

そして次に計測した寸法を元に京都の工房で障子の製作です。製作には約一ヶ月を要します。そして障子の木地の状態ができると本堂にもっていき、仮合わせをします。これは冒頭でもお話したように本堂は長年屋根に瓦がのっていたり地震にあったりしているため、傾きが相当あるため木地の白木の状態で吊ってみます。漆を塗ってからは削ったりすることが不可能なためでもあります。

さて本堂で木地合わせをしていると、手触りがよく木目も美しいため、坊守様から「漆を塗らなくても木地の状態でもいいくらいね。」とお褒めの言葉をいただきました。今回の本堂は計26枚の障子がありましたので4人の職人さんが二日間にわたって本堂に出向き作業をしてくれました。仮合わせで難しいところはやはりそのひずみをどこで吸収するかです。障子自体は一枚ずつ同じ寸法にするため、寸法の調整は障子外側の細い棒(方立といいます)で行います。左右の‘こけ’はこれで解消しますが、前後は吊る位置を上下ずらさないと真っ直ぐに立ってくれません。これらを調整しスムーズに開閉できるようにするのが職人さんの腕の見せところです。障子の吊り方はひと昔前までは丁番式という錺金具に芯棒がついていて折り畳みするタイプ(仏壇の障子によく見られるタイプ)でしたが、現在は軸回式という障子の上下に金具をつけて、その回転で障子が開閉する方式に変わってきました。これは丁番式のように金具がへたり、障子が敷居や真ん中でぶつかることがないようにまた、大きな法要の場合でも簡単に障子が外せるようにするためです。時間は要しましたが、これで漆を塗っても安心して設置ができます。