特別編集 高野山 大圓院【宿坊】への旅 /香華堂報164号[2014,09/01発行]

【第4回 大圓院・奥の院・金剛峰寺】

 奥の院中の橋の駐車場のバスに戻ると、今度は本山の高野山金剛峰寺に向かいました。金剛峰寺の目の前に駐車場があるので、参拝しやすいです。山門まではゆるやかな石段があり、その向うに山門があります。山門はシンプルな桧皮葺きで、その正面に本堂が見えます。桧皮葺が陽の光に照らされてきれいです。本堂も同じく桧皮葺きで特徴的なのが、本堂上の大棟の上に桶が二つのっていることです。この桶を天水桶といいますが、文字通り天から降る雨水をためて、火事が起こった時に火の粉が飛んで屋根がもえあがらないような役割を果たしているそうです。本堂には右脇の玄関から入ります。この右横の玄関も立派で、特に細かい動植物の彫刻が素晴らしいです。入ってすぐに金剛峯寺の額が欅の板に青文字で書かれていました。本堂内は一番外側の廊下しか通れず、入れなかったのは残念でしたが、その向うには枯山水の庭があり、見所満載です。そのお庭をゆっくり見学したいところだったのですが、新別殿という新しい大広間でお説教されるという声を聞きつけ、駆け足で向かいました。そこには毛せんが敷かれ、お菓子とお茶が振舞われました。お話される僧侶の方は30代初めの若い方で、この金剛峯寺のお話をされていました。その後、そのお話にでてきた枯山水の庭へ向いました。ここは日本最大の枯山水の庭だそうです。その後バスに戻り昼食をとり、お土産を買って帰路に着きました。

出発前は高野山の宿坊に泊まるというイメージは、朝早く起きて掃き掃除やぞうきん掛けをし、お勤めをしてブルブル震えながら寝床につくというイメージでしたが、全然快適でした。早く起きて、朝の勤行におまいりしましたが、それも自由参加とのことでした。また食事も精進料理でありましたが、おなかいっぱいいただくことができました。人の先入観というものはアテになりませんね。今回お世話になった大圓院のご住職である藤田住職は本当に温厚で一生懸命お話され、また質問にも丁寧お答えされる誠実人柄がにじみ出ている方でした。そのようなお人柄が若い僧侶の方々にも浸透し、とても気持ちよく過すことができました。もし高野山の宿坊に行く計画をおもちでしたら、大圓院様を是非おすすめします。私もまた機会がありましたらおまいりしたいと思っています。