特別寄稿 松花堂庭園から岩清水八幡宮】見学/香華堂報177号[2015,10/01発行]

所在地 松花堂庭園  京都府八幡市八幡女郎花43番地

    石清水八幡宮 京都府八幡市八幡高坊30番地

2011年から参加していた大阪工業大学の妻木先生が講師をされている学芸出版社の古建築見学会(全20回)もこの2014年の9月で最後を迎えました。最後は四つ切り箱のお弁当で有名な松花堂弁当を考案した松花堂昭乗の庭園とその昭乗が出家した石清水八幡宮へ行きました。明治維新までは神仏習合でしたので、神社である石清水八幡宮にも60近い坊(寺)があり、昭乗もその社僧となり修行に励んだようです。また昭乗は「書・画」「茶の湯」「和歌」に精通し、小堀遠州とも交流があり、大徳寺龍光院の茶室「密庵」の天袋の襖絵は昭乗作といわれている。ちなみにこの密庵は京都山崎妙喜庵の待庵、愛知県犬山市の如庵と並ぶ茶室の国宝でありますが、拝観できない茶室としても有名です。

庭園の入り口には松花堂の地を創始者が訪れたという吉兆のお店があります。庭園に足を踏み入れると、いろいろな種類の竹が植わっており、またそれにともない色々な種類の竹の生垣があり参考になります。庭園には元々石清水八幡宮の男山の中腹にあった松花堂を廃仏毀釈で明治の中ごろに移築された松花堂という茶室、同じ時期に移築した泉坊書院そしてその他に3つの茶室があり、それぞれに特徴があります。まずは梅隠、こちらは千利休の孫の宗旦好みの茶室を再現されたものです。その他にもありますが、茶室によっては茶会などで貸し出しもしていただけるようです。

石清水八幡宮へは松花堂庭園からバスで十分くらいの京阪八幡市駅からケーブルカーに乗って行きました。石清水八幡宮のある男山の山頂までは約3分。あっという間に到着です。降りて山道を10分ほど行くと、唐門に到着です。訪問日は日曜日でしたので、宮まいりで赤ちゃんを抱いた家族連れが数組おられました。唐門は唐破風で、屋根の垂木がその破風の曲線に沿って曲がっています。先生によると、この細工が難しいので、この唐門は貴重だとおっしゃっていました。そしていよいよ本殿です。といっても本殿は見えないのですが、外院と内院の二棟に別れているそうで、いわゆる八幡造りの形式をとっていう神社はここ石清水八幡宮と大分の八幡宮の総本宮である宇佐八幡宮の2ヶ所だけだそうです。帰りには京都市内を展望できる展望台に登り、京都タワーを挟み、表鬼門である比叡山がきれいに見えました。ここ石清水八幡宮が裏鬼門であるということがよくわかります。お寺のことに加えて茶室や神社のことやますます知識を広めていきたいと思います。

 

 

■石清水八幡宮は石と書いて「いわ」と呼びます。