特別寄稿【親鸞となむの大地―越後と佐渡の精神的風土―】見学/香華堂報173号[2015,06/01発行]

所在地 新潟県立歴史博物館 新潟県長岡市関原町1丁目 

新潟勝楽寺様の団参に同行し上越の親鸞聖人ご旧跡めぐりと新潟県長岡市で開催されている「親鸞となむの大地―越後と佐渡の精神的風土」を見学してきました。上越のご旧跡は居多ヶ浜・竹之内草庵・光源寺様の三ヶ所をおまいりさせていただきました。以前も訪問したことはあるのですが、特に光源寺様では、ご住職と勝楽寺様のご住職とは親戚関係にあるようで、大変丁寧に説明していただいた上、余間の中まで入らせていただき案内していただいたことは驚きでした。今回の説明で新たな発見がありました。光源寺様本堂正面には全国的にも珍しい【ご満悦の御影】がお厨子に掛けてあるのですが、その親鸞聖人の衣の色が白だと思っていたのが、実は浅葱色(水色)だったのです。これは流罪の時に着る色の衣だそうです。この衣を5年間着ていたそうです。改めてよくみると掛軸の親鸞聖人の衣の色も白ではなく、薄く水色をしています。説明していただいて初めて知りました。

お昼をはさみ、長岡に向かいました。いよいよ「親鸞となむの大地展です。この展覧会を記念して4月1日~4月25日の25泊26日かけて京都岡崎別院からこの博物館まで歩くイベントがあったそうです。博物館入口のガラスには大きくロゴが貼ってあります。展示内容で私の目に留まったのは龍谷大学蔵の恵信尼像の掛軸です。改めてお顔を拝見すると優しそうな人柄が窺えますが、自筆の文字を見ると、その力強い筆使いに芯の強い女性像を感じることができます。新潟は恵信尼公の出身地でもあることから、その存在を最も感じる土地柄だといつも思います。さて、私が気になったもう一つの展示物は井上円了氏の解説です。最近、大谷大学出身の先生を特集したこともあり気になっていた先生の一人です。新潟出身の学者だとは知らず注視しました。井上円了氏はご存知のように迷信を打破する立場から妖怪を研究し『妖怪博士』として有名です。最近いろいろなところで僧籍をもたない一般の方とお話すると迷信に惑わされている方が非常に多いことを感じざるをえません。100年ほどの前の方がその研究をされているというのは驚きで今の人々にとっても参考になるのではと考えています。恵信尼公のように懐が広く、井上円了氏のように冷静に物事を判断する、そのような新潟の人々によって京都に多大な影響を及ぼし、全国に広まったのだと再確認した展示会でした。