親鸞聖人上陸の地(第8回)/香華堂報111号[2010,04/01発行]

山寺薬師堂(栗澤信連房修行の地) 
【宗派】天台宗
【所在地】新潟県上越市板倉区東山寺

親鸞聖人の妻である恵信尼公の手紙の第十通に「又、くりさわゝなに事やらんのつみと申やらんのつみと申やまてらにふたん念仏はしめ候はむずるになにとやらんせんし申ことの候へきとかや申けに候。五てうとのゝ御ために申候めり・・・」というくだりがあります。この「くりさわ」とは親鸞と恵信尼公との子「栗澤信蓮坊」のことであり、「やまてら」とは板倉の「山寺薬師」と考えられています。信蓮房がここ「山寺薬師」の、「聖の窟(いわや)」という場所で不断念仏の修行をしていたと居多ヶ浜記念堂で買った「上越後の親鸞聖人」という本に載っていたので、次の日に気軽な気持ちで向かいました。「ゑしんの里記念館」より20分くらいでしょうか。山間の人里離れた道を行けども行けども着かないので、不安になりながらもようやく駐車場に着き車を止めました。お寺に向かおうとするとそこには先が見えない階段がずらーり。引き返そうかと一瞬ためらいましたが、もう二度とくることもないかと思い、一段一段歩き始めました。前日に降った雨で石段は濡れており、すべらないように一段一段確かめるように歩きました、後で段数を調べると209段あったようです。段を上りきると、正面に本堂が見えました。人は誰もおらず、動物対策のために重くなっている扉を開けると、正面に薬師如来像、右脇に釈迦如来、左脇に阿弥陀如来像安置されています。板倉区のホームページの説明によると、京仏師筑後法眼が室町時代に彫った仏像のようです。
そして、いよいよ栗澤信蓮房修行の地へ向かいます。本堂左手の道をお墓を右手に見ながら向かいます。案内標識などはないので、先述の本の小さな地図を頼りに、心許ない気持ちで向かいます。この日は霧がかかっていて不安な気持ちで一歩一歩足を進めましたが、「ここで熊でもでてきたら、誰もいないしお終わりかも」という変なことを思いながら、途中の案内標識の指示通りに行くと、やっと「聖の窟」に辿りつきました。夏なので窟(いわや)は草に覆われ隠れていました。この場所は天気のいい日はすごく眺めがいいそうです。かなりマニアックで体力的にも自信のある方はどうぞ。

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