コラム・私のお寺めぐり/香華堂報55号[2004,08/01発行]

コラム 

まもなく、お盆、お寺さまにとっては忙しい時期になりますね。私もこの時期には必ずお墓まいりに行きます。家のお墓は父方が京都市内のお寺の境内墓地、母は滋賀県の町管理の公共墓地です。よく寺墓地か公共墓地、どちらがいいかという話を耳にします。それぞれに特徴があります。寺墓地はお寺の住職がいらっしゃるので万が一、代が絶えてしまっても、きちんと供養してもらえ、最後には祖壇納骨(合祀(ごうし)式の納骨、本願寺派では祖師親鸞聖人の大谷祖廟で行われていることからこの名がついた)で納骨してもらえるという安心感があります。またいつでもお経が聞こえる寺墓地がいいという声もお聞きします。一方、公共墓地は新たに作る場合が多いので、駐車場や区画が計画的に整備され、価格の面でもが安いという点があげられます。 私が亡くなった時に、どちらがいいかと問われれば正直言って今の段階ではわかりません。ただ亡くなった時に、子孫にはあまり負担を掛けたくないという思いはあります。ゆえに、自分が生きている間にお墓を用意しておきたいです。私のことを想っておまいりしてくれるのはせいぜい孫の代までです。私自身も祖父母しか知らないですから。ここ数年、海や山にお骨をまく散骨も多くなりました。親鸞聖人も『閉眼せば鴨川の魚に与えよ』とおっしゃっているように、真宗的にはそれでいいと思いますし、私もそれでもいいかなあって思うこともありました。しかしながら、例えば自分の親が遺言でそのような言葉を残し、実際できるかといえば、兄弟やおばなどの親戚の賛同を得られるかどうかという問題も生じてきます。みんなが、ご先祖を想い心から手を合わせる場所を作ることも考えなければなりません。お墓まいり、自分の同級生の親御さんの訃報に接すると、お盆を縁にそんな話もできればと思います。 

 

 

私のお寺めぐり(第二回)

 東大寺 PART 1

  【宗派】華厳宗

  【所在地】奈良県奈良市雑司町406-1

世界遺産で、ご存知のように大仏殿は世界最大(総高さ46.8m)規模の木造建築です。ちなみに東本願寺御影堂は床面積世界最大で、高さは10mほど低いです。三番目は西本願寺御影堂です。現在の大仏殿は鎌倉時代に戦火で焼かれ、宝永6(1709)年の江戸時代に再建されたものです。それまでは、正面の間口で約1.5倍あったそうです。創建当初、大仏様は盧舎那仏(るしゃなぶつ)で八層に分けて鋳造され、造営に加わった人は延べ260万人、原材料銅500トン、錫8.5トン、金440キロ、水銀2.2トンに及びます。大仏殿火災で大仏様も大きな痛手を受けましたが、江戸期に修復されました。ところで、1月と8月には東大寺大仏殿の正面扉が開き、8月には加えて参道にローソクの灯が参道正面と両側に無数に並ぶますので、言葉では尽くしがたいほどの幻想的な雰囲気になります。また、この時期奈良は“なら燈花会(とうかえ)があり奈良公園を中心に一万のローソクの灯と各寺院がライトアップされ、8月15日には奈良東南の高円山(たかまどやま)では大文字の送り火があります。次回は東大寺お水取りと東大寺と親鸞聖人などについてお話したいと思います。

 

おすすめ情報

時期『正月元旦万灯明、8月15日万灯供養会、3月1~14修ニ会(しゅうにえ)お水取り』

仏像『南大門金剛力士像(なんだいもんこんごうりきしぞう)、大仏殿盧舎那仏(だいぶつでんるしゃなぶつ)、法華堂不空羂索観音(ほっけどうふくうけんさくかんのん)、日光菩薩(にっこうぼさつ)、月光菩薩(がっこうぼさつ)』   

仏具『不空羂索観音宝冠(ふくうけんさくかんのんほうかん)、誕生釈迦仏立像(たんじょうしゃかぶつりゅうぞう)』