コラム
最近、ある職人さんに叱られたことがありました。私も暑さや忙しさでイライラしていたのでしょうか。口の聞き方が「買ってやっている」という感じだったようで、それについて注意されたのです。商売をしていく上で、様々な職人さんや業者さんは私にとっては大きな財産で、なくてはならない方ばかりです。しかしながら、売る側は商品を買ってもらおうと、仕事をさせてもらおうと必死です。ご年輩の方でも私のような弱輩ものに丁寧な敬語を使い、平身低頭で来られる方もいらっしゃいます。私も常に言葉使いには気を付けているつもりなのですが、叱られた時に「買ってやっている」という気持ちがなかったかと問われれば自信がないです。売る側からみれば、買う側のお客様はその取引によって日々の生活できるわけですから大切な存在です。だからお客様は神様かもしれません。一方買う側にも商品や仕事に対して吟味しなければなりませんが、相手側に発注して仕事をしてもらうことによって商売が成り立っていることに感謝しなければなりません。その時には忙しい、忙しいと言ってなぜ注意を受けなければならないのかと思っていました。しかしながら、忙しいという字は心を亡くすと書きます。私も心を見失っていたのかもしれません。
よく祖父が生前に言っていたそうです、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」。座右の銘としては古めかしいかもしれませんが、この言葉をお客様にはもちろんのことですが、買う立場の時に往々にして横柄になりがちな職人さんや業者さんに対してもその精神を持ち続け、そして、お客様に納品する時もそのような多くの人々のお陰であることを思いながら仕事しなければならないと感じました。

仏具の話
上人卓(しょうにんじょく)、巡讃卓(じゅんさんじょく)、和讃卓(わさんじょく)
内陣向畳(むこうじょう)の前に1対置くのが上人卓です。向畳は竪畳(たてじょう)よりも高くしてあるので、その畳の高さに合わせて上人卓には専用の黒塗りの台があります。一般的に前卓や祖師、御代卓はすべて木製の材質に金箔が施してありますが、上人卓は彫刻の部分が金具で出来ています。これは上人卓の大きな特徴です。
上人卓を置かない場合は内陣竪畳の祖師側、御代側に3脚ずつ置くのが和讃卓と巡讃卓です。一般的に面金の和讃卓を用いられますが、巡讃をされる場合、本来面朱の巡讃卓を用います。(面金(朱)とは面と面を切った部分が金(朱)色、すなわち面取り金(朱)からきています。)巡讃とは和讃を次々に上げることをいいます。三種類の卓は畳の釣り合いなどから巾は同じ1.6尺(48cm)になっています。そして移動の時は一番上の甲板(こういた)を持たず、下から持つようにしてください。なぜなら脚が一番上の甲板に接着しているため、長年経過しているものだとそれが外れる場合があるためです。他の仏具にもいえますが、この方法が仏具を長く使っていただくひとつの方法でもあります。