コラム・仏具の話(金灯籠かなとうろう 本願寺派)・ご本堂お仏具ご納入の報告/香華堂報46号[2003,11/01発行]

コラム
秋真っ盛りですねぇ。スポーツの秋、読書の秋、食欲の秋などと申しますが、私にとっては法要の秋でもあります。今年も各地で蓮如上人500回遠忌法要を勤められ、そのおかげで、当社も慌しくさせて頂いております。ありがたいことです。いつもその法要にお参りして思うことなのですが、法要のタイトルに“忌”という一般的には不祝儀の際に使われる言葉が入っているので、法事のように思われることが多く、黒のスーツに黒のネクタイという恰好で来られる方がいらっしゃることです。特に一般の方はお寺イコールお葬儀、不祝儀という図式で思われている方が多いです。
数年前に私の曾祖母の50回忌の法事をし、赤飯を頼んだお店に「紅白ののし紙でお願いします。」と言ったら、「えっー本当にいいんですか?」と聞き返されました。
御遠忌法要も祝賀の祭典のような“祝”という文字があれば一般の方も間違われないのかもしれません。これはちょっと極端かもしれませんが、当社のお客様で浄土真宗山元派のお寺様がこの春に御遠忌法要をする際、親鸞聖人750回報恩会法要(ほうおんえほうよう)と駒札に書かれて、法要を勤められました。私はいいネーミングだと思います。法要を勤める意義はその法要を勤める方を想い、今自分がここにあることを感謝すると聞いております。それが一周忌、三回忌などの時は衷心の気持ちで黒のネクタイ、そして50回忌を迎えたなら、50年の法事を勤めることができる自分が今ここにいる喜びを紅白ののし紙などで、お祝いを表すのでしょう。自分にとっての“喜びの法事”だと考えます。お寺の法要には有縁の方々が大勢あつまります。集まられる方がただ参加するだけでなく、自分にとっての喜びの法要として感じていただける、そんな法要になれば素敵ですね。

金灯籠(かなとうろう)(本願寺派)
 宮殿の手前に1対吊るしてあるのが金灯籠です。本来はご本尊のご面相(お顔)を照らすのに用いられていました。よって法要の際にはご本尊の方に扉を向けて開けます。現在では本堂に様々な照明器具が取り付けられ、お顔を照らすという役割は薄れつつありますが、電球が切れた際などは交換しにくく、手前(外陣側)に扉をされることも多いです。
高さはご本尊を照らす位置にしますが、四具足の燭台のローソクの灯や華瓶のしきみなどにも配慮して、お決めになられるとよいでしょう。足は丸みを帯びた猫足型のものと、真っ直ぐな蝶足型のものがあります。ご本山は両堂とも蝶足型のものを用いられていますが、一般寺院は猫足型を荘厳されていることが多いです。これは数十年前には,本山と同じ荘厳を遠慮するという理由からのようです。材質は主に銅地に金箔押しのものか、金メッキしたものです。お手入れは、金箔押し製も金メッキ製も軽く乾拭きする程度にして下さい。真鍮製仏具のように、真鍮磨き粉などは絶対に使用しないでください。金箔が取れるか、金メッキが剥がれてしまいます。最後に付属的なことなのですが、金灯籠を吊り下げる金具はJ字型をしていますが、それは前(外陣側)にくるようにしてください。これは、灯籠を前から掛けるのに便利なためです。

ご本堂お仏具ご納入の報告
この度和歌山の浄土真宗本願寺派浄専寺様と神戸の真宗大谷派常永寺様のご本堂お仏具一式納入の栄に浴し、さる10月26日に落慶法要を勤修されたので、写真とともに、ここにご報告いたします。このような大きなお仕事をさせていただいたことを、ご住職さまを初め、坊守様、総代様ご門徒の皆様他関係の皆様には心より御礼申し上げます。浄専寺様は戦火から、また常永寺様においては平成7年1月17日の阪神大震災から見事に復興されました。また、この場をお借りして、私を支えて下さった多くの職人さんにも御礼申し上げます。