コラム・仏具の話(礼盤一式 本願寺派)/香華堂報42号[2003,07/01発行]

コラム 商売人へのおまいりのススメ

商売の秘訣、なかなかムツカシイです。故松下幸之助氏は「雨が降ったら傘をさす」と答えられたそうです。そうです、傘をさせば、濡れずにすみます。これは自然の理(ことわり)で、どんなことにも当てはまるのではないかと仰っています。商売においては、お客様からいわれた注文にお応えし、商品を納める。自然なことなのですが、そういう当たり前のことを確実にすること、それこそが商売の秘訣かもしれません。
 それに加えて、私の祖父はよく「打てば響く太鼓のように、すぐに返事をする。」これを口ぐせのように言ってたそうです。すぐに返事が返ってくるというのは逆の立場でも気持ちがいいものです。
私はこのような言葉を本や親を通して読んだり聞いたりして、自分自身も実践するよう心がけています。なかなか続けられませんが。
そして、私も私なりの商売の秘訣を考えました。それは、お仏壇に手を合わせるということです。といっても、仏を頼み商売がうまくいくようにお祈りするということではありません。順調よく仕事をしていても、人は次第に欲がでてきて、今以上に大きなことを望んだり、違う分野まで手を広げようとします。それが、お客様に対しての応対が不充分になると思うのです。私も商売人の一人として、自分を常に戒め、おごらず、お客様ひとりひとりに感謝の気持ちを持ち続けるにはどうしたらよいか考えることがあります。その答えが、仏壇におまいりすることではないかと思うのです。なぜなら、手を合わして頭を下げるということは、相手に対して自分をへりくだるということですから、毎日おまいりをしていると、その気持ちが仕事の上でも表れるのではないかと思います。“お線香に火をつけておまいりする”、私の商売の一日はここから始まります。

 


寺院仏具
礼盤一式(本願寺派)
法要の際に中尊前の前卓の手前に置くのが礼盤一式です。礼盤とは導師が座る畳の台をさす言葉で向こう側に置く卓を向卓、左脇にある卓を脇卓といいます。そして、右にある磬を吊るしたものを、磬台(けいだい)といいます。向卓(むこうじょく)には立経台を置いて浄土三部経を立てます。脇卓(わきじょく)は柄香炉と塗香器を置きます。向卓と脇卓を簡単に見分ける方法は、向卓はお経を置くため脇卓よりも高いですが、脇卓は細長い柄香炉を置くので巾が広いです。種類としては、黒を基調とした阿弥陀堂型と金を基調とした御影堂型とがあります。一般的に、阿弥陀堂型と名の付く方が仏様を荘厳する仏具ということで御影堂型よりも豪華なものが多いです。礼盤一式も阿弥陀堂型は青貝を配した豪華なものですし、御影堂型は金箔を施したきらびやかな仏具です。
 礼盤を購入される時の注意点として、内陣の奥行きが重要です。須弥壇と前卓を引いた残りの部分を計り、向卓、礼盤の寸法そして手前に人が立つ寸法です。また、前卓と須弥壇を引っ付けるのかどうかによってスペースの余り具合は変ってきます。また、最近は背の高い方が増えてきましたので、礼盤の横幅が標準ですと2.1尺、(63cm)なので、座った時に足がはみ出さないかどうか見る必要があります。高価なものですので、慎重にご検討されるといいでしょう。