コラム
最近、寺院建築の趣味が高じて、近代建築にも興味を持つようになりました。そこで、今話題の建築家、安藤忠雄氏設計の光の教会へ行ってきました。外壁はコンクリートですが、大きな特徴として、十字架が少し変わっていて、外壁が大きく十字に切られ、その部分にガラスがはめこまれています。つまり、窓の部分(開きませんが)が十字になっています。この日は天気がよく、陽の光が教会の中にも明るく差し込んでいました。そして、その十字架のすぐ手前に演台があります。最近の近代建築の寺院にもいくつかみられることですが、礼拝施設に三つの共通点があるように思います。その①は天井が高いこと、②は外光、つまり、太陽の光を採りいれていること、③は礼拝する中心が見下ろす位置にあること(階段またはスロープになっている)、この他に椅子式や、コンクリートを使用している等ありますが、大きな特徴はこの三つだと思います。①の天井が高いということはそれだけで、おおらかな気持ちにさせてくれます。②の外光を取り入れるということは、やはり、どんな照明をもってしても、太陽の光にはかないません。内部に温かい雰囲気をもたらしてくれます。それと洋の東西を問わず、太陽の光を中心にすることはよくあります。③は新しくなった東本願寺参拝接待所や大谷大学講堂にも見られます。礼拝する場所を見下ろす位置にあるということは賛否両論ありますが、見下ろすので先生がよく見え、楽に話が聞けること、また、終わってからも先生の下(もと)へ向かいやすい点などがあげられます。それと、奥に細長い様式は他のお参りする方々が見え、何かしら一体感があります。春休みだったこともあり、たくさんの若者が来ていました。私は木造建築こそが1000年以上続いた日本の伝統で素晴らしいものだと思っておりますが、こんなにも近代建築に魅せられた人々がいることに驚きました。
仏具の話 珱珞(大谷派)
大谷派は輪灯の上に珱珞を吊るします。このため、珱珞を注文する場合輪灯の図①の寸法が必要です。材質としては現在銅地に金メッキしたものしかございません。以前、木製のものもございましたが、現在は製造しておりません。ご修復ですと可能な場合もありますので、業者にお問合せください。笠は二重のものと三重のものがあります。三重のものは豪華ですが、天井が低いと吊るすことができません。また二重のものを三重にすることも可能です。また珱珞の中心を通っている竿ですが平たい平竿(ひらざお)と丸い丸竿(まるざお)とがあります。どちらも龍が巻きついています。
メインテナンスですが、銅地ですから金メッキでやり直しすることが可能です。修復する場合、すべて外してステンレス線でつなぎ替えします。落ちて紛失してしまったら新たな部品を足しますが以前のものと形や彫金などが異なる場合がありますので、落ちてしまった部品も大切に保管してください。大谷派は本来珱珞を、法要時とそうでない場合付けたり外したりしますが、外しても横にしないで下さい。横にすると切れたり傷みの原因となります。図②のように洋服掛けに吊るして布を掛けられるといいでしょう。蓮如上人ご遠忌には御代前にもされますのでご用意される場合はお早めに。
しっかりしていれば、業者に出してアク洗いしてもらい、はげた部分だけを箔直しすれば、かなりきれいになり安価で済みます。このような方法もありますので、もしヨーラクの部品が落ちた場合でも必要ですから残しておいて下さい。以上のように、修復される場合は思った以上に手間がかかりますので、早目に業者に出されることをお勧めします。
川越少年刑務所お内仏ご修復
この度、川越少年刑務所のお内仏ご修復を行い、納入いたしましたので、ここにご報告いたします。このお内仏のご本尊は明治27(1827)年に浄土真宗本願寺派本山から寄付されたものです。この度当社にご下命をいただき、光栄に存じております。教誨師の先生方はじめ、関係者の皆々様に心より御礼申しあげます。