コラム・仏具の話(台座 御光編)/香華堂報49号[2004,02/01発行]

コラム(越前四箇本山の旅~PART1)
 正月休みに福井県、越前四箇本山(えちぜんしかほんざん)の真宗寺院におまいりしてきました。武生市の出雲路派毫摂寺(いずもじはごうしょうじ)様、鯖江市の誠照寺派誠照寺様(じょうしょうじはじょうしょうじ)様、山元派證誠寺(やまもとはしょうじょうじ)様そして福井市の三門徒派専照寺(さんもんとはせんしょうじ)様です。毫摂寺様は武生インターから10分位のところにあり、向かいにもお寺があり、寺内町という感じがしてとても雰囲気がいいです。各伽藍が大きく豪壮です。伽藍としては一番私が気に入ったのは鼓楼で、西本願寺飛雲閣のようなとても上品なつくりをしています。
 次に誠照寺様です。鯖江市の中心部に位置し、市街地の道沿いにあります。まず、山門の四足門(しそくもん)に注目しました。この門は俗に「鳥棲まずの門」と呼ばれ、その彫刻は左甚五郎作といわれているそうです。駆出しの龍や蛙股(かえるまた)の獅子の彫刻が素晴らしく、実在する動物のように迫力があるので、鳥が寄ってこないそうです。確かに鐘楼などは彫刻に鳥よけの網が張り巡らしてありましたが、この門には何もしていないのに、フンもなくきれいな状態で残っています。阿弥陀堂のご本尊は秘仏で入山記念日の8月15日に御開扉されているそうです。前立のご本尊がいらっしゃいます。このご本尊を御安置しているお宮殿が重層入母屋造り(じゅうそういりもやつくり)で大谷派の宮殿に本願寺派の枡組を組み合わせたような豪華なものですが、外陣からは見にくいです。私が、目を奪われたのは欄間です。特に御影堂の欄間は牡丹なのですが、それがこぼれ落ちそうなくらい大きく奥行きも深く彫られています。最近御修復されたようで、金箔も煌々しい光を放っていました。次号はPART2で證誠寺様、専照寺様のお話をしたいと思います。


仏具の話(台座 御光編)
今回は前回の仏像に続き、台座御光についてお話したいと思います。浄土真宗の御台座は六角型または八角型をしています。本山型の台座でいいますと、本願寺派は八角型、大谷派は六角型です。この他に五重座、七重座などの型がありますが、それぞれのお寺様によって形は様々です。台座の中でも、ご本尊を差し込む蓮の形をした蓮華は以前のものは純金箔押が多かったですが、現在は岩絵具で緑に彩色し、前回お話した金泥書きや截金で葉脈を描いていきます。この蓮華の葉一枚一枚を蓮弁といいますが、ご覧いただくと分かるように一段目、二段目そして三段目と半分の巾ずつずらして組まれています。この技法を魚のうろこ模様に似ているところから魚鱗式(ぎょりんしき)といいます。参考に均等に並んでいるのを「吹き寄せ式(ふきよせしき)」といい京都宇治の平等院鳳凰堂の阿弥陀如来像にみることができます。
次に御光ですが、東西によって形状が大きく異なります。本願寺派は本山型の場合火炎光背といい板状のものですが、大谷派は中心にくるのは菖蒲巻きという棒状のもので、それに葉やつぼみが巻き付いています。本願寺派に比べ非常にシンプルな形といえます。光輪(こうりん)は大経四十八願から48本の光によって成り立っています。普段ご本尊の後ろ側にあって見にくいですが、浄土真宗のご本尊は他宗に比べ光輪を強調した「光」を中心とした仏像であるといえます。