職人のつぶやき

 截金師(きりかねし)

  仏像の衣や蓮弁の葉脈(ようみゃく)にある金の文様(もんよう)を描くのが私らの仕事どす。繊細な仕事ですから、仏師の妻など、女性がすることが多いどすなあ。截金の工程には箔焼き、箔切り、箔載せの三つに分かれます。箔焼きとは金箔を2枚づつ焼いて密着させ、計4枚焼き重ねます。こうすることによって、金箔がねばりと艶を持つようになりんどす。次にその焼き合わせたものを、鹿皮(しかがわ)を貼った盤の上で、竹の刀を使い絹糸のように、ほそ―く切っていきます。そして、それを膠(にかわ)とフノリを合わせたものを接着剤とし筆に含ませ、模様に沿ってなぞりその上から截金を載せていきます。非常に細かく、根気が要る仕事どす。截金は筆で描くのとはまた異なった切れ味の鋭い線が出せます。文様が出来上がると、光の角度によって細い線がいろいろな表情をみせてくれます。それが、仏像を一層浮き出たし、壮麗さをあらわすんどすなあ。この截金という技法は古うから存在したんどすが、途中で途絶えた時期もあったんどす。しかし、奇しくもこの技法はかろうじて、真宗の絵像本尊によって伝えられたんです。そやさかい、真宗の絵像本尊は截金の輪郭によって浮かび上がってみえます。そして、いつまで経っても変わらん金を使った截金、御本尊に一番適したものやと思わらしまへんか。ところで、最近は仏具以外の工芸的なもの(茶道具やアクセサリー)など、幅広くこの技法が使われるようになったんどす。一時期無くなりつつあった技法が形を変えて受け継がれてゆく、私らもその伝統を截金のように細く長く伝えていきたいもんどす。まっ、つぶやいてんとそろそろきばりましょ。

 

 

 

 

仏具の話

大谷派御須弥壇

  前回の本派との大きな違いは、下の框が上框と同じく平たいことです。そして、より上等な須弥壇には、小足と襞に河の流れのように金具が打ってあります。これを襞金具といいます。大谷派独特のもので、豪華になります。腰の彫刻は浪に龍がただよい、睨みを利かしています。そして、金箔押しに彩色です。ところで、御須弥壇は後ろに扉がある場合、内部は空洞ですので、新調や修復の際に棚をつけることが多くなりました。これは、須弥壇収骨するためです。やはり、御本尊におまいりすることで、ご先祖様にもということなのでしょうか。現在、大谷派の本山でもされています。匂欄は正面から見た場合後門柱の中心にきます。本堂にあわせて御須弥壇が造られていることが、これで、お分かりになるでしょう。黒を基調とし、金具で豪華にみせる、宮殿と同様、重厚さをもった御須弥壇といえるでしょう。