新年のご挨拶 ~仏具を買う前に PART Ⅰ

新春のお喜びを申し上げます。毎々ご愛読いただき、厚く御礼申し上げます。

昨年は多くの方々のご支援を頂戴し感謝しております。この場をお借りし心から御礼申し上げます。おかげさまで、香華堂報も来月で3年目を迎えます。これからも4年目5年目と続くようにしたいと思っております。2003年香華堂報のまず初めは「仏具の話」、「ご案内」の代わりに、『仏具を買う前に』というテーマでお話したいと思います。

 まず、どのような仏具がいるのか知る必要があります。現在本堂にある仏具を買い替える時は、その必要はないのですが、新たに仏具を揃えるときや、法要を迎えるなどの場合、本堂のどこに仏具を配置しなければならないか各本山から出されている出版物を参考にします。その他、実際のご本堂を見たり、法要の様子を見学したり、仏具業者のカタログを参考にしたりします。また、買い替えるときも、新しい仏具はデザインなどが変わっている場合もあるので、確認しなければなりません。

 求めたい仏具が決ったら、第一に寸法(サイズ)を決めなければなりません。寺院仏具は本来、御本尊のお身丈が基本となります。そして、それによって他の仏具の大きさが決まります。しかしながら、実際は本堂の大きさや従来ある仏具、またご住職の体格に合わせて寸法が決まる場合が多いです。仏具業者のカタログの巻末に基準寸法が掲載していますので、それを参考にするのもいいでしょう。

次に求めたい仏具が単品だけで成立するものか他の仏具と関連あるかどうかを見極めます。例として単品仏具は春日卓(西)御讃卓(上人卓)(東)曲録 楽器類、御伝鈔卓、箱類、朱傘(共通)などです。一方、関連仏具としては本堂の大きさと関連するものとしては宮殿、御厨子、羅網、須弥壇、前卓、人天蓋、菊灯、中央卓、菱灯籠、外陣香炉、 障子、欄間などです。他の仏具と関連するものとしては上卓、具足類、香盤、香合、供笥、仏器、金灯籠、輪灯、瓔珞などです。またご住職や法中様の体格に合わす仏具としては登高座、草鞋、浅沓などがあります。関連する仏具の場合は、今、手元にある仏具を採寸し、体格に合わす場合は身長や足のサイズを業者に伝えなければなりません。また、基本的に仏具はオーダーメードなので、関連する仏具で、基準寸法を変えたい時は、注文する際にその旨業者に伝えます。その際、別料金がかかるかどうか確認します。また、高額で別注品は返品がきかない場合もありますので、見積りしてから注文しましょう。また納期も必ず確認します。(納期に余裕が必要)

 仕様については最上(特上)、極上、特製などの違いがありますが各社仕様に

ついての規定が違うので、見積もりを取る場合、仕様書の提出を求めることも必要です。

仏具は高価なものですが、一度購入すると、数十年数百年という単位で受け継が

れていきます。二、三年で買い換えるものではないので、仏具選びは慎重を期したほうがいいでしょう。安いものはそれなりの品質。安くていいものというのはそう簡単には販売されませんが、中には安くていい仏具もできているので、予算がない場合は仏具店に問い合わせてみるのも一つの方法です。次回はPART2の仏具店についてご説明したいと思っています。今年もご愛読お引立ての程、宜しくお願いいたします。

 

※次号より職人のつぶやきは私が日々気づいたコラムに模様替えします。

  

 

職人のつぶやき(仏具屋編)

ほんまは職人やおへんけど、来月からこの企画も変るちゅうことで、最後にちょいといわしてもらいます。仏具屋の仕事は、お客さんの注文聞いてそれを職人さんに発注して、出来上がったら納品するちゅうことです。こういうとお客さんと職人さん、あるいは職人さん同士の運び屋みたいですけど、なかなかそう簡単には行きまへん。カタログに極上とか特製とか値段のランクがありまっしゃろ。お客さんにはその価格の差が、耐用年数の長さなのか仕様の違いなのか具体的な説明をして納得してもらわんとあきまへん。それだけやおまへん。お寺にはそれぞれに独自の仏具が置いてあるケースが多いので、それに合わせて作らんとあきまへん。そやさかい採寸ちゅうことに非常に気使います。例えば前卓の場合、御本尊を安置する須弥壇よりも低く、巾も狭くせんとあきまへん。そして、木地の職人さんに寸法を変えて発注する時は、ただ既成の寸法を縮めたり、伸ばすだけやなく、前卓自体のデザインが変わってきます。そやさかい縮尺図描いて細かいところまで打ち合わせします。そして、それぞれの職人さんに回していくんですが、やはり人のやることさかい失敗もある。それには目を光らしてチェックします。建築現場でいうたら現場監督ですな。この世界に入り立てのときはミスを指摘すると「若造が小生意気に何をぬかす」いうて怒鳴られたこともありました。そやけどうちらみたいな小さな店はそうゆう細かいとこまで検品して納める一個一個の仏具が見本で、店の信用ひいては私の信頼になっていくもんです。こうしてお寺に納めてた仏具に手合わしてもうてると、この仕事についてほんとよかった、とつくづく思います。まっ、つぶやいてんとそろそろきばりまひょ。また、お寺で会いまひょ。

 

 

帰”という言葉が選ばれたように、長年、北朝鮮に拉致された方々が帰国されたり、ノーベル賞ダブル受賞古い町家に人気があったり、昔の曲がリバイバルされたり、懐かしのおもちゃがいろんな意味で時代回帰の機運が高まり古いものが見直されたり、不景気の時世を繁栄し、人間関係はますます孤立化し、暗い話題の多い時代です。そんなニュースの多い中で私が注目したことはス田―巨人の松井選手やマリナーズのイチロー選手のようなスター選手がホームラン基金をしたり、日米野球を休んでまで、子供の野球教室に参加するなどの社会貢献のことを聞いて大きく感銘いたしました。そのようなニュースを聞くと、“私”には何ができるのだろうかと自分に問い掛けます。ご存知のように私は仏様のみ教えを聞く場所の儀式や作法で使われる仏具や本堂内部の内装などの仕事を通して本堂内部の演出をする仕事をしております。そこにおまいりされる方々が、いかに静かに手を合わすような気持ちになるか、また気持ちよくお参りされ、来たときよりもすがすがしい気持ちになって帰られることをお手伝いできればと思っております。今までの伝統様式は、先人の方々が考えてこられた長年の蓄積によって完成された日本人の素晴らしい智恵の結集だと考えます。一方でここ150年程は、西洋化された生活スタイルの変化によって、伝統様式が今の人々に合わなくなってきているのも現実です。お寺にはいつも僧侶がいらっしゃるわけではありません。私は趣味であちこちのお寺へ行きますが、お坊さんのお説教を聞いたのは数回です。だから、いつお参りにこられても自然と手を合わすような空間を作りあげることこそが私がこれから考えていかなければならないひとつのテーマだと思います。しかしながら、なかなかその空間を演出することはたやすいくないです。